ピアニスト・仁宮花歌インタビュー 〜「音遊人」としての生き様〜

今回インタビューに応じてくれたのは第21回東京音楽大学コンクール※ピアノ部門で第1位を獲得した仁宮花歌(東京音楽大学付属高等学校2年)さんだ。大学生も交えた年齢層の広いコンクールで、見事優勝という快挙を成し遂げた彼女の「ピアノと遊ぶ」という考え方のルーツや日々の練習との向き合い方について伺った。

※東京音楽大学コンクールとは、本学により主催され、学生の演奏意欲と表現技術の向上を目的として2002年より毎年開催されています。その大きな特徴は、学年やコースの枠を越えて審査が行われること、国際的に活躍している学外の演奏者・指導者の先生方に審査を依頼していることにあります。
隔年で、「声楽部門・ピアノ部門」 と「弦楽器部門・管打楽器部門」が開催されています。入賞者には賞状と賞金が授与され、今後の音楽活動に生かせるよう個別に詳細な講評も与えられます。これまでの本コンクール入賞者は、その後国内外の数多くの主要なコンクールにも入賞しています。

「コンクールに挑んだことについて」

ーコンクールを受けようと思った時の心境やなぜ数あるコンクールの中でこのコンクールを選んだのかを教えてください。

仁)「挑戦」という気持ちが強かったです。大学生も受けられるということは年齢層がとても広いので…。結果を気にせずチャレンジしようと思っていました。
このコンクールを選んだ理由は、本選で1時間のプログラムを組んで演奏するんですけど、たくさんの曲に触れ合ってみたいというのが1番の理由です。

ーということは、1時間のプログラムを弾ききるというのは初めての試みだったのでしょうか?

仁)初ではなかったです。過去に1回やったことがあったので…1時間弾き続けるということのイメージがあるという点でその時よりは余裕がありました。

ー1時間のプログラムに挑戦したときに苦労したことはありますか?

仁)やはり、演奏しなければならない曲が多く、細部までこだわりきれないところです。1曲だけを仕上げるのとではワケが違うので…流れをつくるというのも難しかったです。

ー用意してきた1時間のプログラムを弾ききったあと、また、優勝という結果が出たときの心境を教えてください。

仁)「やっと終わったー!」って思いました。弾き終わったらとにかく安心感がすごくて…「ちゃんと弾けて良かった」とも思いました。
結果が出た時は本当にビックリして、「ホントか???」って疑っちゃいました(笑)でもやっぱり嬉しかったです!

「日々の練習について」

普段校内の演奏会に多く出演している彼女に憧れを抱いている生徒も多い。
そんな生徒たちから、多くの質問希望があった「練習の仕方」について伺った。

ー普段どのくらいの時間練習していますか?

仁)正直に言うと、私練習嫌いで(笑)
あんまり…周りの人と比べるとやってない方だと思います…。
さすがに、コンクールの前とかは
家に帰ってからご飯食べたりする以外はずっと弾いていますけどね!!(笑)

ー練習する時、とくに重点的に行っていることはなんですか?

仁)どんな曲であれ、その曲をどのように表現するかが1番大切だと思っています。テクニックを磨くのも大切ですけど、表現するものがあってこそのテクニックだと思っているので…。
色んなピアニストの演奏を聴いて自分の演奏と比較して…それの繰り返しですかね。

多くのピアニストからアイデアをもらい、それを自分の演奏に落とし込む努力をしている仁宮さん。だからこそ彼女の演奏は深みがあり、1曲の中で様々なアプローチを楽しむことが出来るのだ。

「感情の共有ができるピアニストに」

ー仁宮さんが目指すピアニストとは一体どのようなものですか?

仁)うーん…。
よく聴いてくれる人に感動してもらいたいとか、心に残る演奏をしたいとかあるじゃないですか。それももちろん素敵なんですけど…
私が表現したことを「私たちもそこいいと思ってた!」みたいな感じで私と聴いてくれる人の表現したいことが一致しているみたいな…いわば聴衆と感情が共有できているみたいな、そんなピアニストになりたいです。

ー高校生活の中で授業でも友達との会話でも、何か刺激を受けているものがあれば教えて欲しいです。

仁)毎日毎日、友達にものすごくいい刺激をもらってます!!
練習量とかもそうですけど、コンクール前とかは弾きあい会とかもしたり…とにかくたくさんの刺激を貰っています。

「音楽と向き合うことについて」

ー「音楽と向き合う」ということに関して、何か意識していることなどはありますか?

仁)向き合う…難しい質問ですね(笑)
うーん…私は、「面白い演奏」が好きで。それぞれの曲の解釈とか難しいですけど、人によってどう弾きたいとかここが好きとかって変わってくるじゃないですか。音楽を聴いている時に、「面白い」をキャッチして、自分に落とし込んで、じゃあ自分だったらどうしたいのかって考えることは、よくあります。

私はこの話をきいたとき、彼女にとって音楽はとても自由なものなのだなと思った。どんな曲でも「今から音楽を聴くぞ」とか、「これから大曲がくる…」など、「音楽を聴く」という行為を無意識のうちに意識してしまうのが普通だと思う。しかし彼女にとって音楽は常に日常に溶け込まれているものであり、だからこそ、誰よりもはやく、敏感に音楽の「面白さ」に気づくことが出来るのだろう。

「仁宮花歌とピアノ」

ー最後の質問になりますが、仁宮さんにとってピアノとはどのような存在でしょうか。

仁)弾いていて楽しいというか、ピアノと音遊びをしている感じです。
私の遊び相手みたいな…ちょっとやばいですけど(笑)
よく考えてるのは、ピアノってタッチとか鍵盤を叩くスピードで音色がどんどん変化していくじゃないですか。あれってどうしてそうなるんだろうって!今は分からないんですけど、ピアノと遊んでいくうちにその答えも分かるようになればいいなって思ってます。

ーありがとうございました。これからの活躍も期待しています。

仁)ありがとうございました。

仁宮花歌は音遊人である。これは私がインタビューを通して感じたことだ。
彼女は誰よりも音に親身になって寄り添い、音と遊ぶことを楽しみとしている。そんな彼女だからこそ、真に音楽を理解し、本当の意味で音楽と共に生きることができているのだろう。

これからも彼女は音とともに生きていく。今度彼女の演奏を聴く機会があれば、「音」にフォーカスをあてて聴いてみたい。
そうすればピアニスト・仁宮花歌の音楽の真髄を覗くことが出来るかもしれない。これからの彼女の活躍に目を離すことはできない。

インタヴューと記事作成を行った、本校プロモーションリーダーズ(小野未結)
インタヴューと記事作成を行った、本校プロモーションリーダーズ(小野未結)