メッセージ

学校長

小森 輝彦

Teruhiko Komori

自分らしさを見つけてください。

2020年度から、本校では学びのヴィジョンを掲げています。ヴィジョン、ミッション、ヴァリューという考え方は、今はビジネスの世界、企業理念などを示すための方法としてはかなり広まってきていますが、高校生や中学生の皆さんには馴染みのない考え方かも知れません。

「音楽を主軸に自分らしさを解き放ち、クリエイティヴに生きよう。」

これが我々の学びのヴィジョン、つまり教育目標の根幹、タイトルのようなものです。「ヴィジョン=理想」と言えばわかりやすいでしょうか。

私たちは音楽高校に身を置いています。誰もが音楽と深い関わりを持ち、日々音楽家としての鍛錬を行っています。これは、高校生誰もが置かれている状況ではありません。甲子園を目指す高校球児であれば、これが「野球」に置き換わるかも知れません。科学者を目指している高校生なら「科学」、弁論大会を目標にしている高校生なら「スピーチ」かも知れない。

音楽というのは、芸術の一分野であり、物質的なマテリアルを必要としない点で最も崇高な芸術の形態、と言われることもあります。また、他の芸術の形態と同じ様に、音楽はそれそのものが目的にもなる、素晴らしい芸術形態だと思います。

私たちは、この音楽への熟練を通して、皆さんが音楽と共にあることを通して、より自分らしく生きられるように、と願っています。より自分らしくなる、というのは自分を解放する、ということです。大雑把な説明は避けたいですが、例をとれば、必要のない遠慮や、自分の音楽を受け手がポジティヴに受け入れてくれないのではないか?と言う恐れを捨てて、自分の中にある、自分が生まれながらにして持っている音楽性を解き放つことです。

音楽性は全ての人間の中にあります。僕は固く信じています。僕が今まで関わった様々な音楽家の中には、音楽性を持たない人はいませんでした。多くの覆いに包まれて音楽性が外に出てきにくい人、自分の音楽性に自信が持てなくて、それを外に出そうとしない人は沢山見て来ましたが、「音楽性がない」人にはまだ出会えていません。多分いないと思います。

自分の中の音楽性、これは、我々音楽を目指すものにとっては音楽という言葉で表現することになりますが、人類全般に広げるとこれは「クリエイティヴ」という言葉に置き換えてもいいでしょう。ヨーゼフ・ボイスという著名なドイツ現代芸術家は「全ての人間はアーティストであり、社会彫刻家だ」と言っています。起業家、政治家、教育家、などなど、様々な職業に就く人が、そのクリエイティヴィティを仕事の中で発揮して、創造的な社会の構築に貢献していますね。クリエイティヴに社会を構築することがヨーゼフ・ボイスの言う「芸術的に社会を彫刻する」ということかと思います。

日本開催ラグビー・ワールドカップの日本代表ウイングとして活躍した福岡堅樹選手が「自分の原点はピアノだ」と話したことは良く知られていると思いますが、他にも北京オリンピックのスノーボード選手も音楽を聴く聴覚が競技に役立っていると話しているのを聞きました。ここにも横の繋がりがあります。

スポーツでも音楽でも、我々は沢山「練習」をします。練習によって音楽と仲良くなります。練習をドイツ語ではプローベと言いますが、語源は「試すこと」です。つまり、成功する必要はなく、ある程度失敗を前提として「試す」ことが大切なのです。これをこのヴィジョンでは「ポジティヴに失敗しよう」という言葉で表現しています。「失敗を恐れず」ではなく「失敗をする」のです。失敗を避けないことです。我々は皆さんに「失敗をし続けられる環境」を提供することを目指しています。失敗をして良ければ、誰でも気張らず、自分自身でいられるのです。

自分らしさを見つけてください。その為に、あなたらしくいてください。それを我々は望んでいます。

ピアニスト

野島 稔

Minoru Nojima

高校時代は演奏家・音楽家へ成長する為には貴重な時間

演奏家・音楽家を目指す若者にとって、高校時代は最も貴重な時間です。高校生の頃が肉体的にも精神的にも一番柔軟に発達し、吸収しやすい時期なので、最大限に自分の可能性を追求してもらいたいと思います。消化不良を起こすことがあるかもしれませんが、出来るだけ多くのことをエネルギッシュに吸収してほしいと思います。例えば一つの音を出すにも、どのような音を出すべきなのか、どのような音が望まれているのか、十分に考えて勇気を持って選択する作業をしてもらいたいと思います。そのためには、練習時間も十分に確保しなければなりません。音楽高校で学ぶ三年間は、そのような時間をもてる絶好のチャンスです。思う存分時間を費やし、納得のいくまで自分を磨き続けて下さい。

※野島稔学長は2022年5月9日にご逝去されました。上記は生前野島稔氏が受験生や高校生に宛てたメッセージとなります。

Our Vision

音楽を主軸に自分らしさを解き放ち、クリエイティヴに生きよう。

Our Mission

個と音楽性を引き出す
規律と礼節を尊重するマインドを育てる
人生を直感で描く力を育てる

Our Value

ポジティヴに失敗しよう
多様性と共鳴しよう
自分を洞察しよう
美的衝動を鍛えよう
トレンドに敏感になろう

教員紹介

本校には優れた専門性をもった数多くの教員がいます。音楽科目に関しては大学の教員も教えておりより高度な内容を学ぶことができます

専攻実技・コース

声楽・ピアノ・弦楽器(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス・ハープ・クラシックギター)・管楽器(フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット・サクソフォーン・ホルン・トランペット・トロンボーン・ユーフォニアム・テューバ)・打楽器・作曲・音楽総合コースと、音楽を学びたい生徒にとって、充実した専攻が揃っております。各専攻の個人レッスンは、全て大学の教授・講師陣により行われ、生徒は大学生のレッスンにも接しながら、先輩たちの技術、情報を吸収することが出来ます。また、レッスン以外の音楽専門科目(ソルフェージュ・音楽理論等)の授業も、大学と兼任の教授陣も交えて行っています。

音楽科目

ソルフェージュや音楽理論など、音楽を学ぶ上で必要な基礎的な知識、能力を身に付けるための各種授業を展開しております。特に和声を基軸として課題に取り組み、それらを分析する力も養うことができます。また、室内楽、吹奏楽、オーケストラ、オペラをはじめとした声楽から器楽まで様々な形態のアンサンブル授業に力を入れ、多様な学びを得ることができる環境を整えております。

カリキュラム

《 学習指導要領に基づく 》
教科 科目 1年 2年 3年
国語 現代の国語 1 1 2
言語文化 1 1 2
【学校設置科目】国語表現基礎 2 2
地理歴史 地理総合 2 2
歴史総合 2 2
公民 公共 2 2
数学 数学Ⅰ 2 2
理科 科学と人間生活 2 2
生物基礎 2 2
保健体育 体育 3 2 2 7
保健 1 1 2
芸術 美術Ⅰ 1 1 2
外国語 英語コミュニケーションI 4 4
英語コミュニケーションⅡ 4 4
英語コミュニケーションⅢ 4 4
論理・表現I 1 1 2
論理・表現II 1 1 2
第2外国語 [2] 2 2(4)
家庭 家庭基礎 2 2
情報 情報I 2 2
音楽 音楽理論 4 2 2 8
音楽史 1 1 1 3
演奏研究 1 1 2
ソルフェージュ 6 4 4 14
鑑賞研究 1 1
合唱・重唱/合奏・重奏 2-4 2-4 2-4 4(6)-12
専攻実技(第1実技・第2実技)声楽・器楽・作曲 2(4) 2(4) 2(4) 6(12)
副科ピアノ (1) (1) (1) (3)
副科声楽 2 2
音楽総合コース/コンピュータと音楽 (1) (1) (2)
音楽総合コース/リトミック (1) (1)
音楽総合コース/ピアノ演習 (1) (1) (2)
音楽総合コース/小論文 (1) (1) (2)
音楽総合コース/指揮法 (1) (1)
音楽総合コース/特別講座 (1) (1)
音楽総合コース/音楽療法・[選択]音楽療法 [2] (2) (2)-[2]
[選択]第2副科 [1] [1] [1] [3]
[選択]声楽基礎 [1] [1] [1] [3]
総合的な探求の時間 1 1 1 3
普通科目計 17 18-20 16 51-53
音楽科目計[選択を除く] 16-22 12-20 12(14)
-23
40(42)
-65
合計 34-40 31-41 29(31)
-40
94(96)
-121
特別活動(ホームルーム活動) 1 1 1 3
※単位数のうち( )内は必修選択単位数、[ ]内は自由選択単位数
※音楽理論-楽典・和声・コードネーム・作曲・編曲・対位法・コード進行
※合唱・重唱/合奏・重奏 - 合唱・声楽演習/オーケストラ・吹奏楽・室内楽・ピアノアンサンブル・伴奏法・アナリーゼ

学費・奨学金制度

種別 内訳 金額
入学時 検定料 35,000円
入学時 入学金 120,000円
年額 授業料 542,000円
年額 維持費 80,000円
年額 施設拡充費 112,000円
年額 冷暖房費 10,000円
年額 図書費 8,000円
年額 演奏会費 8,000円
年額 健康管理費 5,000円
合計金額 885,000円
※学費:885,000円
※制服:男子)64,000円〜 女子)81,000円〜(制服は全て学校指定になります)
※体操着:31,600円〜(※男女同デザイン、学校指定になります)
※給食費:50,000円〜55,000円(※本校では、給食制度により全校生徒に昼食を提供いたします)
※補助教材費: 40,000円〜70,000円
※校外学習費: 71,000円(高校2年次必修)

奨学金制度

東京音楽大学付属高等学校では、学業成績が優秀な生徒への褒章として下記の奨学金制度が設けられています。

1)給費入学奨学金(新入生対象)

種別 資格 給費額
特別給費入学奨学金 実技が極めて優秀であり、学科、人物ともに優れ、将来広く音楽界において貢献出来る見込みがあると認められた者 ※全学費相当額
給費入学甲種奨学金 実技が優秀であり、学科、人物ともに優れ、将来音楽界において貢献出来る見込みがあると認められた者 30万円
給費入学乙種奨学金 実技が甲種に準じて優秀である者 15万円
※在学期間の学費全額または理事会の定める額を免除

2)特待生奨学金(2・3年生対象)

上記、給費入学奨学金に準ずる。

3)短期留学奨学金(在校生対象)

海外の教育機関において研鑽を積むことが必要と判断された場合、および海外における演奏会等に招聘された場合に対象となる。給費金額はその都度決定される。

4)複数就学者授業料減免制度

一家族につき、複数の子弟が在籍している場合、最上級在籍者を除くすべての者を対象する。減免金額は減免対象者の授業料の20%とする。

その他の奨学金(外部の支援制度等)

日本学生支援機構奨学金(JASSO)を初め、日本政策金融公庫(教育ローン)、その他地方公共団体奨学金、民間育英事業団奨学金等については、各関係機関に直接お問い合わせください。

進学実績

本校では内部進学制度を設けることで、高大7年間の音楽一貫教育を通して、クリエイティヴな音楽家を育成しています。

大学・高校施設

東京音楽大学 池袋キャンパス

Tokyo College of Music Ikebukuro Campus

A館
A館
東京音楽大学付属高等学校(J館)
東京音楽大学付属高等学校(J館)
東京音楽大学100周年記念ホール 東京音楽大学100周年記念ホール
東京音楽大学100周年記念ホール

東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス

Tokyo College of Music Nakameguro Daikanyama Campus

TCM学生寮

TCM Student Dormitory

所在地
〒171-0032 東京都豊島区雑司が谷3-22-10

寮経費
 ⋆ 入寮費80,000円
 ⋆ 寮費月額78,000円

入寮条件
自宅が遠方で通学が困難であること。(通学時間は片道3時間以上が目安)

関連機関